「勃起で泣くなんて、はじめてだ。」
もう、いったい何度観ただろう。
それでもまた、久しぶりに観てしまった。
不快な思いを抱えながらも、最後のカタルシスを欲してしまう自分がいる。
とうとう、この子のレビューをする日が来たのだ。
と、言っても多くは語りたくない。
まさに、〝百聞は一見にしかず〟とはこの作品のためにある言葉だ。
しかし、少しだけ語ろう。
劇中の主要人物は、みなもれることなく〝愛をむきだしている〟。
まさに純愛だ。
素直に愛に生きている。
ただ、愛は不定形なのだ。
形が定まっていないからこそ、人それぞれの愛のかたちがあり、それゆえに、互いにその表現をも理解し合えないことがままある。
だからこそ、登場人物たちは、複雑にもつれ合うし、
この映画は賛否両論あるだろう。
けれども、それこそが、一人ひとり観る者の中に宿る愛かたちが違うことの何よりの証だと思う。
この作品を観て、好きだ!!と好意的に思う人、嫌いだ!!と不快に思う人、それぞれがなぜそう思うのかをしっかりと考え、向き合い、感じ入ってほしい。
自分の中の愛のかたちに触れてみてほしい。
そうした心の感情を引きずり出して刺激してくれる映画をこそ、私は愛おしく思う。
この世の中に、絶対などない。
みな、愛を隠して生きすぎている。
もっともっと、愛をむきだせ。
いろんな愛があっていいじゃない。
きれいにまとまった理想形の愛なんて、絵空事だ。
みな、きれいな愛を演じているにすぎない。
演じようとするから、辛くなる。
そんなきれいな愛なんて存在しない。
この映画をきっかけに、胸の中えぐって、愛のかたちに触れてみろ。
そしていつか、心、空洞になるくらい、愛をむきだせ。
生きることは、すべからく
愛のむきだし だ。