あんじょーら

愛のむきだしのあんじょーらのレビュー・感想・評価

愛のむきだし(2008年製作の映画)
2.8
幼き頃に母を病気で亡くした男の子ユウは敬虔なカトリックの信者でもあり、後に神父にまでなる父テツとの2人暮らし。その神父になった父テツに取り入ろうとするかなり直情的な女性のカオリに次第に乱されていく家庭。テツもカオリと生活するも、結局破綻。2人を残してカオリは去っていきます。その頃から父テツは息子であるユウに毎日懺悔を求めるようになり、懺悔することがないユウは父にかまって貰いたい一心で罪を作る毎日を送るようになります、しかもよりによってその罪は父の反応が1番大きかった(激昂した)「盗撮」に絞られていきます。ユウ自身は盗撮という行為に大きな目的もなく、ただ懺悔のためだけに行っているのです、自分では特に盗撮行為を求めてはいない(エロとしては、ということです)、何かに欲情しているわけではなく、幻想(妄想とも言える)の女であるマリアのような女性を求めているのです。そして、盗撮行為を続けていく中で、ある時奇跡的にユウのマリアに符合する女性ヨーコと出会います、そしてヨーコは・・・


というのが冒頭なんですが、ココまででもう多分1時間くらいかかってますでしょうか?こうやってストーリィを書き出すと、非常に馬鹿馬鹿しく聞こえるのでしょうけれど、これはけっして「お馬鹿」な作品ではありません。これでもか!というくらいの強く、熱い意欲が画面からビシビシと伝わってくる作品です。とにかくストーリィは練りこまれていますし、確かに長い作品(え~DVDでは2枚組で237分!!4時間です!)ではありますが、その長さを感じさせないパワー溢れる出来栄えです。役者さんの演技は非常に体当たり的で、もちろんこんな役(キャラクター)を演じたことは無いと思うくらいの斬新なものでありますが、とても自然で精一杯演じてくれていますので、この世界観がありだと感じます、地続きなりアルな世界だと受け入れられます。


また、音楽の使い方がめちゃめちゃ上手いんです、冒頭のあるクライマックスに向けてはボレロを効果的に使い、最後の「空洞です」がまた痺れました。全く知らなかったのですが、「ゆらゆら帝国」凄い!!!なんて居心地の悪い(良い意味で)曲なんでしょう!!歌詞にも曲にもやられました。「空洞です」の歌詞に「面白い」という部分があるのですが、これはなかなか凄い単語を使うな、と思いました。おかげでYouTubeで映像みましたが、ライブも凄い!本当にいろいろな音楽がありますね。この映画にはぴったりです、まさに。


長い過程を経た上でのユウとヨーコの上に訪れる結末だけでなく、様々な登場人物の行き着く先が、宗教や欲望がの果てを垣間見せる作品でした。


途中に挟まれるヨーコの長台詞と長回し、なかなか迫力ありますし、いろんな方々が出てきて面白かったです、長さが気にならない作品でした。


日本の漫画が好きな方にオススメ致します。