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スケアクロウのfuripのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.8
映画「スケアクロウ」を観ました。ジーン・ハックマンさんとアル・パチーノさんが主演、アメリカン・ニューシネマの一作です。

ブロマンス…いや、BLのようにわたくしは感じたのですが、どうなのかな。1973年の作品ですので制作されたころのことを考えると、当時リアルタイムで観ていた方々にとっては衝撃作だったことと思います。

ジーン・ハックマンさん演じるマックス、大男で喧嘩っ早い。大雑把な男かと思いきや、神経質、人のことを容易に信用しない、何故か何枚も重ね着しているし、寝るときには靴を枕にしないと眠れない。あと計画、用意周到で大きな体で、小さな手帳に細かくお金の管理していたりします。

アル・パチーノさん演じるライオネルは小柄、陽気、とても優しくて大らかです。マックスと出会ったとき、お互いヒッチハイクをしているところで、ライオネルが話しかけてもマックスは邪険そうに振り払って一切取り合わない!普通、こんな大男で眉間にしわを寄せ、邪険に、威圧的な人には近づかと思わないと思いますがライオネルはまったく怯まなくて、手持ちのライターでたばこに火がつかず、イライラしているマックスへ自身が持っていた最後のマッチで火を貸してあげたところでー。あんなにライオネルを邪険にしていたマックスがライオネルへ心を許してしまう!

アル・パチーノさんがこんなにも愉快で優しく、大らかなキャラクターを演じているのは新鮮です。血で血を洗う抗争、狂気、雄々しさ(ケダモノ感かな)がなくー。脱力して観ておりました。クライマックスに近づくにつれ、ライオネルの表情が曇っていき、どうしたのかなと心配していたら、最後はこの心優しいひとにとっては、大変辛い結末となってしまいました…。

案山子って、廃材で作られていて・こっけい・みすぼらしい・こわい

というイメージ、わたしは持っていたのですけど、ライオネルはマックスへ「カラスはかかしに怯えているのではなく、かかしを笑っているのだ」って言うのです。笑わせてもらったから困らせないよう、その畑を荒らさないで去っていくのだと。そんな馬鹿なってわたしは思いましたし、作中でマックスも鼻で笑っていました。

でもそれって一方的な価値観なのですよね。見た目とか、見方とか、立場とかで、感じ方や価値観は全く異なってくるのではないでしょうか。

ラスト、マックスがピッツバーグ行きの往復切符を買うところで終幕となります。クライマックス、わたしは悲しい気持ちとなったのですが、マックスのライオネルを想う気持ち、俺一人じゃとライオネルへ一生懸命話しかけたり。少し陽気な、滑稽な感じの音楽が流れて終わるエンドロールがとてもよかったです。
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