aaaakiko

やわらかい手のaaaakikoのレビュー・感想・評価

やわらかい手(2007年製作の映画)
3.7
やわらかい手、とはそういうことか。
孫の治療費のために、「風俗」で働くことにしたマギー。それというのは、男性を手コキでイかせるお仕事。
そもそも支配人に、あんたの手は柔らかくてよい、と言われたマギーの手は評判を呼び、行列ができるほどに。
うーん…どんなに良いものなのか。わたしも男だったらぜひ試してみたかったです(笑)。

というとなんか下品なコメディ映画になりそだけど、作品には終始、もの悲しい空気と、上品さがあって、不思議な雰囲気の映画でした。

しかしですよ世の中の風俗嬢があれやケツの穴まで舐めたり病気にかかったりしてやっと稼いでるのに、手コキだけで週数百ポンドも稼ぐのか!と腹立たしく思ったりもしましたが、それも「ペニス肘」で撤回。
つまり腱鞘炎?そんななるまでの仕事って想像を絶する…。グリップの緩急とか関係あるんだろうな。大金稼ぐ仕事はやはり甘くない。

とはいえ、これは個人的な感想ですが、「あんな職業」「売春婦なんか」という言葉がポンポン出てきたのが気になった。
その職業で大金を稼いでおいてそれはないだろう。
支配人も、「こんな職業」で稼いだらどこかの島へ行きたいとか言い、2人して優位な立場から周りを見下しているみたいで嫌だった。

ただ最後まで見たらそんな感想も違うものになった。(以下ネタバレ)


マギーに客をとられクビになってしまった子がいた。彼女を心配してマギーは彼女のアパートに出かけたが、あんたが仕事を奪ったんだ!と文句を言われ、それに対して何も言い返さずにマギーは立ち去ったが、あのときにマギーは職業的にプロに近づいたんじゃないかと思いました。
なぜなら売春婦、風俗嬢という職業はそういうものだから。人気の子は稼げるし、人気がなくなったら稼げない。客は良い方を選ぶんだし、店も稼げない子はいらない。
そこには同情も親切も通用しない。

そういった職業的な話の一方で、息子の嫁がすべてを知った上でマギーに感謝したシーンは、本当に良かったと思いました。
嫁は「親は子のために死ねるというけど」と話したが、そういうことなのですね。きれいごとでお金はもらえても、大金は稼げない。

最後は友人との縁も解消したマギー。
いろいろな面が描かれた面白い作品だったと思います。
aaaakiko

aaaakiko