よしおスタンダード

駅馬車のよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

駅馬車(1939年製作の映画)
3.6
No.2787

駅馬車と馬たちの大疾走!
濛々と立ち込める砂煙!
猛スピードで落馬し、転がっていくアパッチ!
激走する馬から馬へ飛び移る者まで!!

・・・これ、馬を、「車」と「バイク」に置き換えたら、そのまま「マッドマックス」になることに気づいて、やっぱり、この駅馬車が、あらゆる映画の中のアクションの原点なんだなぁ、ということに今更ながら気づいた(笑)。

確かにこれを、CG、特撮一切なしで撮ろうと思ったら相当大変。

フィルムだから、一度に回せる時間も短いし。
そう考えると凄いですね。

この映画は、いわば駅馬車の中の群像劇で、シチュエーション・ドラマが主体なので、

ジョン・ウェインが出ているにもかかわらず、これといった目立ったアクション・シーンはなく、淡々と話が進んでいく。

だから、この襲撃シーンで、一気に静から動へ移っていくダイナミズムが実によく生きてくる。

登場人物たちの中でも、特に目を引くのは、やはり「飲んだくれ医師」のブーンだろう。

演じたトーマス・ミッチェルは本作でオスカー助演を獲っているが、とにかく素晴らしいいぶし銀の味わい。

夫人が産気づいたとき、医師としての本来の使命に目ざめ、コーヒー飲んだり水をぶっかけられたりして、一気にシラフに戻していく様子は名シーン。

一仕事おえて、酒を呷ったあとに大きく息をつくが、あの時の酒のうまそうなこと! 名演とはああいうことを言うのだろうと思った。