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少年と自転車のキャンのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
3.9
一人親から捨てられた少年と彼を支えようとする里親の険しくも強かな物語。

荒んでいる。いや、荒まざるを得ない。
それほどの境遇にある。冒頭から終わりまで心が締め付けられるエピソードが盛り込まれているので、感受性が高い方はご用心。

里親のサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)がこの物語の良心。少年を取り囲む男たちが皆、彼を突き放していくなかで彼女だけは彼を見捨てない。
それ故に彼女が少年に寄り添い続ける理由が問われる。理由は母性だけではないと私は思う。
「何故、里親を引き受けたのか」という少年の問いに対して、「わからない。あなたから頼まれたから」と彼女は答える。責任感、という言葉でもまだ足りない。
私も親に散々迷惑をかけて育てられた身なので、この点を深く考えると共に両親に対する感謝の念が込み上げてきた。
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