画面の美しさや編集の鋭さで言えば『ソナチネ』にかなわないが、とにかく暴力が際立っている。トイレで過剰なまでに連発される平手打ちを捉えた長回しは尋常じゃないし、家に来たリーマンを送って行くと言い、玄関を出た瞬間、階段の後ろから蹴り落とすところなんかも普通ではない。
記憶から欠落していたが、路上でたけしが白竜と揉み合い、拳銃を取り出す腕を咄嗟に蹴り付け、結果近くの女学生を誤射してしまうシーンのリズムが凄かった。ここは『ソナチネ』の海岸でレイプ魔射殺シーンとタメを張っている。
何より、たけしがあのメロディと共にこちらの方に迫ってくるときの、何かが起きそうな危険な感じがたまらない。
映画を好きになるきっかけとなった作品の中のひとつをフィルムで見れたのがとてもうれしい。