北野武監督の作品は殆ど初めて。
…というより、これまで『アウトレイジ』くらいしか観ていなかった。
なので、初心者です。初体験です。
冒頭のシーンで瞬時に、主人公のたけし演じる刑事がどんな人物か分かる。この描写でこの人物に、他者への愛があるのかないのか、説得力があるのかないのかが分かる。
古い作品なので、全体的に古めかしいが、今、ブイブイ言わせている韓国の映画監督たちも影響を少なからず受けただろうな…というふうに感じた。(知らんけどね)
本作は、やたらと歩くシーンが多くて、靴音の響きが、妙な恐怖感と寂寥感を誘う。また、独特の長い“間”がその人物の感情の蠢きを表現しているようで、唸った。
殺し屋との対決は、息の根を止めるチャンスは幾度かあったのに、お互い、意図して相手を“逃がしている”ように見えて、これもひとつの愛か…と錯覚したくらい。
妹への愛もまた哀しいものだったし、哀しみも愛と同様に詰まった作品。裏切りとはまた違った哀しみ…人間ってやはり孤独なんだなと痛切に感じた作品だった。
北野武の映画人としての初陣。素晴らしいものだった。また観たいと思わせる作品だった。
次は『ソナチネ』を観る。