調伏系V魔虚羅

その男、凶暴につきの調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.3
北野武初監督作品。
その男、我妻諒介、39歳。職業、刑事。
‪行き過ぎた行動と粗暴な性格から、署内でも危険人物として敬遠されていた。自身を理解してくれる数少ない同僚の岩城と他愛もない冗談を言いながらも、辛うじて完全な孤立を免れていた。また、そんな我妻は知的障害者の妹の面倒を見ていた。ある日、港で麻薬売人の他殺体が発見される。我妻は新人の菊池を引き連れ、操作を開始するのだった。

正義と悪の境界線すら存在せず、ただ狂気、そして暴力だけが法とすることを許される。全編に散らばる黒い笑いが作品内に絶妙な緩急を与え、何を仕出かすのか不明な独特な“間”を掌握する我妻の人間性につい呑まれそうになってしまう。この絶妙な笑いと暴力の両立はお笑い芸人という職業柄が故に成立したものか。監督一作目にして北野武の映画を撮る才能が爆発している。
無言の中炸裂する静かなる激しい“怒り”が我妻という男を物語る。‬
調伏系V魔虚羅

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