福福吉吉

おくりびとの福福吉吉のレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
4.5
小林大悟(本木雅弘)はプロのチェロ奏者だったが、所属の楽団が解散したため、妻の美香(広末涼子)とともに山形に帰郷する。山形で職を求めて求人広告に応募した大悟は、その就職先が納棺師の会社とは知らずに社長(山崎努)に採用されてしまう。妻には言い出せないまま、大悟は納棺師の仕事に従事し続ける。

ストーリーのテンポが良く、コミカルさとシリアスさが良い配分で緩急をつけてくれていて、最後まであっという間に観ることができました。納棺師というあまり知られていない職業の世間一般の印象とその実態を上手く描いた作品になっています。

主人公の小林大悟というキャラクターがとても良くて、彼の思いの一つ一つに一喜一憂できる感情移入しやすいように描かれていました。彼と妻の美香のやりとりはお互いの心情がよく描かれていて良かったです。本木雅弘と広末涼子のそれぞれの演技がとても良かった。美香が大悟の仕事の内容を知った後の二人の衝突は心が痛かったし、それでも仕事に誇りをもって続けた大悟の心情も良く伝わってきました。

脇を固める登場人物たちもとても良くて、ストーリーが進むにつれて上手い具合に結着させていて、観終って気持ち良くなりました。心がぽかぽかになりました。

亡くなられた故人をひと時だけ生前の姿に戻し、親しかった人たちと別れを告げる時間をつくる納棺師の仕事の大切さが良く伝わってくる作品でした。

鑑賞日:2023年2月27日
鑑賞方法:NHK BSプレミアム
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