画面せましと動き回る様々な線上運動がひたすら気持ちいい。
シモン救出時の、右から左から、手前からと交わる船の水平線運動が美しいシーンはもちろん。何気ないマッチを受け取るシーンも凄い。ただでさえ、窓枠の入れ子構造による奥行きある画面にクラクラしてる中、下から2階の窓に向かってマッチを投げる、垂直線上の運動も加わるんだから、もうわけがわからなかった(笑)
”空間の魔術師”なんていう、某番組のサザエ風ナレーションが聞こえてくるかのような、匠(たくみ)ルノワールによる遊び心あふれる空間との戯れ。
昨今の3D映画より、よっぽど3Dしてます。
ただ、ミシェル・シモンの下品さがちょっとね… 口元がなぁ〜。ヒゲ剃って髪整えた方が下品ってどういうこと(笑)
これに限らず、ルノワール作品に共通する独特な卑猥さがどうもニガテなんだよなぁ。もっとエロエロな映画でも、大抵いいぞもっとやれって思うんだが、何でだろうか?まぁ、それ差し引いても大傑作なのは間違いない。