ともぞう

白夫人の妖恋のともぞうのレビュー・感想・評価

白夫人の妖恋(1956年製作の映画)
3.2
びゃくふじんのようれん。中国の伝承『白蛇伝』を題材とした林房雄の小説『白夫人の妖術』が原作。東宝初の総天然色(イーストマン・カラー)による特撮映画であり、日本で最初にブルーバック撮影による合成を用いた作品。初っ端から幻想的な色彩が使われる。当時36才の山口淑子の色気が凄いし、清純派イメージの25才の八千草薫の小悪魔的な演技も新鮮。白蛇の化身が優柔不断な優男にベタ惚れ。なんやかんやあるが、最後はラブラブで天に昇る。

〈あらすじ〉
西湖のほとりに住んでいた貧しい若者の許仙(池部良)は、ある雨の日に傘を貸し与えたことから、美しい白娘(山口淑子)に結婚を申し込まれ、銀二包の支度金まで手渡された。喜び勇んだ許仙が、姉の姣容(清川虹子)と李公甫(田中春男)の夫婦と共に支度金の包みを開いてみると、中から出て来たのは、県の倉庫から盗み出されて大騒ぎとなっていた“火”印の銀であった。罪を問われた許仙は、笞刑に処せられた上、蘇州へ流されたが、許仙を慕う白娘は、この地にも追ってきた。身に覚えのない罪に問われて、彼女を憎んでいた許仙の心も、美しい白娘と向い合う中に、恨みは影を潜め、愛着だけが強まって行った。程なく、二人は幸福な愛の生活を送ることとなった。ある日、呂祖廟の祭りに出向いた許仙は、茅山道人(東野英治郎)という道士に妖魔に魅入られていると警告されたが、白娘の嘆願に疑いを解いた。しかし、白娘と召使の小青(八千草薫)を疑う知人の王明(上田吉二郎)の計りで、妻の正体は白蛇の精だと知った許仙は、恐怖を感じて救いを仏門に求め、法海禅師(徳川夢声)の住む金山寺に姿を隠した。許仙をあきらめきれぬ白娘は、金山寺に赴いて、夫を返して下さいと懇願したが、聞き入れられぬと知るや、力づくでもと金山寺を妖術で水攻めにした。法海禅師や、許仙を守る茅山道人の努力にも拘らず水かさは刻々増して許仙は今にも溺れそうになった。これに気付いた白娘は呪文を止め、自らは濁流に呑まれて姿を没し去った。秋になって許仙は刑期を終えて西湖のほとりの故郷に向ったが、その途中、突然白娘が現われた。許仙は驚きのあまり、白娘を蹴とばして逃げたが、ふと気付くと、その場には白い石があるばかりだった。許仙は今さらのように彼女の深い愛情を悟り白娘の名を呼びながら号泣を続けた。そこに何処からともなく、懐しい白娘の“愛の唄”が流れてきた。
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