ニッカツワールドセレクションにて鑑賞。
まず田中絹代の監督としての技量が素晴らしい。霊安室へ運ばれるところでの光の射し込み、息子を見送る2階からのショットと大月を見送る2階からのショットの意図した相似のたくらみ、鏡越しのショットなどなど、印象的なショットの数々。
上条(中城)ふみ子を演じた月岡夢路が美しい。森雅之があっけなく死んだのには驚いたけど、やはり月岡夢路が密かに思慕する対象としての存在感は流石。葉山良二、大坂志郎、安部徹らの演技もとても良かった。そして子どもがかわいい!
また1955年にして、徹底的な女性目線の映画が作られていることに驚いた。
夭逝の歌人中城ふみ子をモチーフに、彼女の短歌も劇中効果的に使われていて、涙する。
素晴らしい傑作でした。