mar88

ヒア アフターのmar88のレビュー・感想・評価

ヒア アフター(2010年製作の映画)
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劇場公開が2011年2月後半。

作中に津波の描写があり、同年3月14日に上映の中止が決定したクリント・イーストウッドの監督作品。

(その後、DVDのリリース元のワーナーが収益の一部を震災の被害に遭われた日本へ義援金として寄付されることとなった。)

なんとなくずっと頭にはあった作品で、クリント・イーストウッド監督ということで観たかったのだけど、中々手が出ずにいた作品。
予想より、その津波のシーンというのがショッキングな映像で、上映中止という判断は正しいものだたのではないかと思う。
7年経った今観ても、ざわざわするのだから当時なんて観ていられなかったのではないかと思う。


ストーリーは、他人の3人の物語が同時進行する。
「臨死体験」「身近な人の死」「霊能者」。
「人は死ぬとどうなるのか」というような共通点があり、やがて3人の人生が交差し始める。

とまぁ、クリント・イーストウッド監督作品を観ている方からすると、「だいぶ路線が違うなぁ」と思う方も少なくないと思います。
観終わった私もその気持ちは変わりません。

ただ、そこは監督の色というか、わたしなりの「監督っぽさ」というところは何点かあって。

まずは、音楽。
変に神秘的な音楽を流すことなく、とことんまで、シンプル。というか、優しく質素。
その音楽に寄り添うかのようなマット・デイモンの演技。
久しぶりに観た彼はあの体格からは想像できないもの静かな演技をする人だった。
そして「あ、グットウィルハンティングのときからそうだった」と思い出した。
「ボーンアイデンティティ」などのパッケージに騙されて、自分の記憶が刷りかえられていたらしい・・・

霊能者はジョージといってマット・デイモンが演じている。
彼が霊視をするときの光の加減が絶妙に好き。

マリー演じるセルシ・ドゥ・フランスの健康的な雰囲気も素敵だった。

あと、監督はインタビューで「極力、宗教的な表現は避けた」とおっしゃっていて、そこは本当にどの人の中におそらくある「イメージ」のようなものを大切にされていたように思う。
それから、マーカスの霊視の時、ジョージは優しい嘘をついたのか、どうか・・・
これを観た方はどう思うのかな。
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