映画狂人

ツィゴイネルワイゼンの映画狂人のレビュー・感想・評価

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)
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一般的に清順最高傑作と称される大正浪漫三部作の第一作、数年ぶりに再見したがやはり見事な出来で正しく真の藝術作品と呼ぶに相応しい。
現実と夢幻の狭間を揺蕩うように極彩色の清順美学が織り成す目眩く映像世界、和装姿の原田芳雄が放つ男臭い色気とサラサーテの旋律が観客を誘う和風モダニズム怪奇幻想譚。
ATGらしい芸術性と清順の特異な作家性とが合わさり、匂い立つようなエロティシズムが全篇に充満し、奇妙奇天烈摩訶不思議な唯一無二の世界観を構築している。
一人二役を演じた大谷直子の美貌もさることながら、大楠道代による眼球舐めシーンには背筋がぞわぞわした。
意味不明にも思える突飛な映像や台詞回しでさえ、清順の手に掛かれば立派な藝術となってしまうのだからお手上げである。
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