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ポーキーズのしゅへのレビュー・感想・評価

ポーキーズ(1981年製作の映画)
5.0
幼稚園のバスを待つのはいつも隣に住む幼馴染の家の前だった。冬は降りたばかりの霜を踏み、春はフキノトウやツクシを採ってバスを待った。隣に立つ母はいつも俺に算数の問題を出した。用水路の角にある柿の木を指差して答えていた。一番古い勉強の記憶はまだ言葉を話せない頃、小さな手にカメラのフィルムケースを嵌め、俺の目線に合わせて貼られた五十音図を見ていた時。俺は神童だったのだ。体は人一倍大きく、よく友達を叩いては泣かせていた。幼稚園の年長さんまでは足も一番速かった。それ以降は人並みか人より劣ることの方が多い人生を送っている。

半端に学ぶことが多く、プライドだけが高くなった。俺の八不可思議ある願いのうちの一つが、馬鹿になること。

その馬鹿を具現化したのがこの映画だ。馬鹿になること、の指標はいつまでも忘れずに手の届く引き出しにしまっておきたい。
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