これほど辛く苦しい映画はない。だが、人間の命や愛について知ることができる映画でもある。医療や看護にも目を向けることにもなるだろう。
これから子どもを産み育てようとする人は、覚悟してみた方がいい。この映画はタフなメンタルトレーニングにもなるだろう。
幼い子どもが破傷風に罹患したということを映画にすると、これほどまでに、辛く、苦しいものになるのか。
両親も医者も親族も同僚も、良識があり、思いやりがあり、誰かが悪いというわけではない。医者の処置も間違っていないだろう。そのことがかえっていやな現実感を与えてくる。
かと思えば、音楽が鬱々とした気分や緊張感を煽ってきて、陶酔したような、ずっと悪夢の中にいるような気持ちになってくる。
これは自分にとってはとても思い入れのある作品となった。わたしたちは生き物であり、病気はとても普遍的なテーマだ。自分や家族がいつどんな病気になるか分からない。この作品のような闘いと向き合うことになる可能性は、誰もが持っている。