観た。
遠藤周作、「わたしが・棄てた・女」が原作。小説が発表されたのは1963年。
正直この映画では、脚本や演出と舞台設定(制作当時の90年代後半)がうまく融合できていないと感じた。
特に前半、酒井美紀演じるミツはまぁギリギリいるかもだけど、吉岡はおかしかった。渡部篤郎がとても下手くそに見えた。台詞と時代が合ってない。
しかも1996年に連れ込み宿って…普通にラブホあったし。
そんな立ち上がりだったので、かなり気持ちが離れて観ていたけど。
ハンセン病の療養施設にミツが入ったあたりから雰囲気が変わった。
時代設定が気にならなくなったのもあるけど、岸田今日子が素晴らしかった。
自身の辛い状況を抱えつつ、ミツに優しく接する様子。別れ際の前向きさと、切なさ。素晴らしい役者さん。
まぁでも誤診と分かった後のハイジのようなミツの喜び方とか、演出の古さみたいなものは終始あったかな。
ラストは意外な結末。
原作にわりと忠実との事、献身的なミツの慈愛を描いているあたりが遠藤周作ぽさなのかな。
当時の時代設定の映画で観たらもっと良さそうな気がする。
熊井哲、脚本・監督