たいすく

ドラえもん のび太の宇宙開拓史のたいすくのレビュー・感想・評価

4.1
◎シリーズ第二弾。のび太、ドラえもんばかりが活躍する、珍しい大長編ドラえもん。
 
≪ストーリー≫
ある偶然によって、はるか宇宙のかなたにあるコーヤコーヤ星のロップルの宇宙船の倉庫のドアと、のび太の部屋の畳が超空間でくっついてしまった。コーヤコーヤ星はまだ開拓途中の惑星で、悪質でならず者を雇っているガルタイト鉱山社の脅威に人々はおびえている。そこに現れたのが、ドラえもんとのび太。重力の弱いコーヤコーヤ星では、人々のチカラは弱く、建物も発砲スチロールくらいの強度。のび太たちは、超人のような活躍ができる星だったのだ。光線銃が飛び交う銃撃戦を制するのは、射撃とアヤトリだけは上手いのび太。かくして、ドラえもんとのび太は、しずか・スネ夫・ジャイアンたちに内緒で、放課後はコーヤコーヤ星に行き、人々を救うという毎日を送っていた。しかし、コーヤコーヤ星にもそんなのび太たちのことをよく思わない人々もいて…。友情を育んだロップルたちとの別れは突然やってくる。
 
≪感想≫
『シェーン』や『ブリガドーン』といった西部劇をモチーフにした大長編です。しずか・スネ夫・ジャイアンの本格参加が物語後半というとても珍しい構造。それゆえに、ゲストキャラクターのロップルやチャミー、クレムがとても生き生きと描かれており、異文化の異邦人としてドラえもん・のび太がここまで詳細に描かれている作品は他にありません。
 
たとえば、地球では射撃とアヤトリしか取り柄のないダメ生徒のび太が、コーヤコーヤ星では大人たちからも認められた英雄であり、ロップルの妹にアヤトリを教えて「ノビータさんはいろいろなことを知っているのね」と尊敬されるといった具合。日常と非日常を交互に描くこの対比が、本作ならではの見どころ。初期の大長編には型がなく、後期大長編にはない自由さがあったことがうかがえます。
 
物語後半の山場、ガルタイト鉱山社が雇ったスゴ腕の賞金稼ぎギラーミンとのび太の早撃ち対決は必見です。
 
たいすく

たいすく