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がんばれ、リアムのibukiのレビュー・感想・評価

がんばれ、リアム(2000年製作の映画)
4.8
最初の戯けるイアンハートとそれを楽しそうに眺める子供達のカットだけで観てよかった思えるし、笑えるし泣けるし心えぐられるし人を選びそうやけどほんまに良かった。

"アンジェラの灰" "ボクと空と麦畑"より鬱度高い第二次世界大戦前夜1930年代のリバプール映画。

一家がカトリック系イングランド人の設定で、冒頭でオレンジ党の歌を歌うリアムを窘める父のシーンやったり、一家の名字がSullivanやったりするとこも相当巧い。

失業してしまった父親とそれを解決しようとする母親、気を遣いながらも時折素直に無垢な笑顔を見せる子供達の描き方がドストライクやった。

懺悔のシーンお姉ちゃんのはめちゃくちゃ泣けるのに、リアムのめっちゃ笑った。笑

登場人物全員愛おしい言ったら語弊があるけど、本質的に悪い人は1人もおらんし、それに性善説絡めてくんのもかなりずるかった。笑
正直自分もコロナ禍で生活だいぶ危なくなってきて、父親の怒りに共鳴したとこもあったけど、リアムの表情見てると心が少し豊かになった気がした。
現代において人種差別について言及するのは言葉選ばなあかん難しいことやけど、少なくともこの映画においてのそれは只々個人の貧困によるものであって、冒頭と終盤の対比がかなり悲しい。
そもそもこの後世界が大戦に没入していく事実が既に鬱やし、ラストも相当ハードやけど、ユーモアもポカポカもあるしほんまに観てよかった。
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