すえ

アキラ AKIRAのすえのレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
5.0
記録

【おそらく次の世界文化遺産】

漫画を全巻読んだついでに久方ぶりに鑑賞、確か前は中学か高校の頃で当時はこんなにも素晴らしい『AKIRA』の良さが分からないデコスケ野郎だった。

進化とは破壊と再生が繰り返されることによる回帰であって、却って頽廃的といえるのではないか。『AKIRA』を観ているとそう感じる。進化というある種宇宙的なテーマが124分という中に濃縮されている。

またこの映画には、最早言い得ない凄みがある。アニメーション(映画)におけるパラダイムシフトであり、『AKIRA』以前と以後という区別が存在するのも納得。それ程までにとんでもない作品であり、アニメーション(映画)を語る上では外せない作品。

建物や機械などの無機物の描写が凄すぎる、漫画原作を読んでても分かるが、絵の上手さが異常。漫画での良さがそのまま今作でも生かされていた。

漫画原作としての『AKIRA』も、アニメーション映画としての『AKIRA』もそれぞれに違う良さがあり、別々の解釈もできる。“AKIRA”とは何か、という問に対して漫画では漫画としての答え、アニメ映画ではアニメ映画としての答えがあり、また鑑賞者それぞれにも答えがある。おいそれと簡単に答えられるものではなく、どれだけ悩んだとて答えに辿り着けない可能性だってある。それほどに深い作品。

絶対伝わらないと思うが、俺の1番好きなシーンは根津と竜が歩いている場面で、歩みに合わせてビルの描写の角度が少しずつ変わるところ。ここは本当に興奮した、変態すぎる。いやぁこれだけでご飯3杯はいけるね。

今作は日本の誇るべき文化であり、次の世界文化遺産に登録されるであろうことはまず間違いない。そうなる前にディスクを購入出来て良かった、とんでもない値段になるだろうからね、あぶねーーーー

“さんをつけろよデコ助野郎!!”

2023,245本目 8/28 BluRay
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