葛西ロボ

はるか、ノスタルジィの葛西ロボのレビュー・感想・評価

はるか、ノスタルジィ(1992年製作の映画)
4.0
 大分むぎ焼酎二階堂のCMあるじゃないですか。ノスタルジックな映像と音楽に合わせてなんかカッコイイこと言ってるやつ。あれけっこう好きなんですけど、乱暴に言えばあれを2時間40分やり続ける映画です。
 ふるさとに戻ってきた小説家がどこか面影のある少女との出会いを通して、心の奥にしまい込んでいた青年時代の記憶を手繰り寄せ、父との確執や過去の自分と対峙する。二階堂のCMが15秒で要約してくれているようなストーリーだが、小説家の過去や彼の本名を名乗る青年、はるかとはいったい何者なのかという謎が話をぐんぐん引っ張ってくれる。
 とにかく「語る」映画で、台詞の一つ一つが故意に小説的。こういうのが好きでも胸焼けしてしまうくらい。事あるごとにドイツ語で格言を言う無口な兄さんとか、クリーニング屋の車に「遠い探究、魂の洗濯」とか書いてて面白いんですけどね。あと石田ひかりが「ふたり」からえらく可愛くなってた。