たけき夏アニメーション

はるか、ノスタルジィのたけき夏アニメーションのレビュー・感想・評価

はるか、ノスタルジィ(1992年製作の映画)
2.2
大林作品に共通するテーマとして、「ロリコンおじさん(=大林宣彦)が時空を超えた存在としての少女を愛でる」というのがざっくりとある訳じゃないですか。

でも、大体の作品でそのロリコンおじさんというのは少年とかに置き換えられているから、映画の絵面的に美しく見てられると思うんです。例え彼らの語る言葉がロリコンおじさんのポエムだったとしても。

でも『はるか、ノスタルジィ』では勝野洋さんという本当の中年おじさんがそのまま少女を愛で、行くとこまで行きますよね。
映画の冒頭からそのスタンスは明らかで、ハッキリと「アイスクリームのような甘い小説を書くロリコンおじさん」と何度も台詞になって出てきます。
それまでの大林作品の病んだテーマ自体をこの映画の中でハッキリと批評する姿勢が示される訳です。

『時かけ』とか『さびしんぼう』とかと、大まかにやっていることは同じなはずなんですけど、少女に対してネチネチとポエムのように愛を語るその人の姿形が中年おじさんだと、マジでキツいです。

いい年して援交した少女にマジで恋しちゃって説教するみたいな居心地の悪さがあります。
いや、この醜さは作品的にも全く正しいものなのでしょう。
ただ僕自信が、心も見た目もピュアな恋する少年から、段々とポエトリーリーディングロリコン援交おじさん側に成長と共に近づいている事も感じさせて、本っ当にキツかったです。

僕の心はこんなにも、純朴な少年のように君を求めているはずなのに…

だから映画的に正しくても僕はこの映画は好きになれません。いずれ自分のなる姿を見ているようで…