みもねる

破戒のみもねるのレビュー・感想・評価

破戒(1962年製作の映画)
3.9
う遙か昔、初任研で部落のことをやった。私の生まれ育ったところでは全く知らない世界で、赴任先のあたりでそのような場所があるとか。私にはまるで感覚的に理解できず、初耳で驚きだった。

この映画の頃から何十年も経ち、戦争も経験して人権ということにナーバスになっていた頃。この映画とはまた違った方向に進んでいた。
家庭訪問の際には、お茶を出されたら必ず飲まなくてはいけない。差別のような言葉も振る舞いも絶対にしてはならない。
もうあまりおぼえていないが、とにかく私には全然わからず、母に聞いたらそのような部落差別があったんだよ、と。
まあ実際に映画に出てくるような差別感や実際の話は全くなかったが、その研修会で「破戒」のこと言ってたなぁと思い出されました。

外国映画によくあるような黒人への人種差別など、日本にはないわ、と思っていたが、こういうことがあったのですね。
「同じ人間」という前に、小さい頃からの教育で「あの人たちは下賤な人」とすり込まれてしまうと、体感的にそう認識してしまう。理由なんてない。そこの地区の人だから。
今の感覚で行くと、本当にナンセンスでいたたまれない。

丑松は、教室でカミングアウトしたときに何でそこまで卑屈に土下座して子どもたちに謝るの。

でも子どもたちは、先生の中身を知っていたから人間として信頼していたから、別れを惜しみ見送りに来てくれた。中にはお土産を持たせてくれた親も。(ここで涙腺崩壊)

猪子も、殺されるいわれはない。本当に、小さい頃からの刷り込みをただすには並大抵のことではない。何が正しいのか、部落差別が正しいとされてきた人たちの頭を溶かすのは、猪子のような人の地道な努力と犠牲の上でほんの少しずつ前進していくのか。果てしない長い道のりだったろう・・

丑松もここで勇気を持って堂々と、までは行かないかも知れないが、猪子の後継者として進んでいくのだろう。カミングアウトして晴れ晴れとしていましたね。

だらだらとすみません。ショッキングな内容でした。

岸田今日子がきれいだった。市川雷蔵って、よく聞く名前だけど、早くに亡くなっているのですね。残念です。
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