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破戒のkogureawesomeのネタバレレビュー・内容・結末

破戒(1962年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

市川雷蔵主演。
市川崑監督(屋根を上から見下ろす構図が市川崑らしい)。
ダブル市川。
白黒のコントラストが強い印象を残す宮川一夫のカメラ。

被差別部落問題を題材にしている。

感想。
苦悩する雷蔵の美しさ。
運動家・猪子蓮太郎を演じているのは三國連太郎。雪が積もっている道で彼が殺害されるシーンの横移動の長回しが息を呑む。
長門裕之演じる疑いも無く素朴に差別している雷蔵の友達はとてもいい奴。
植物学者になろうという長門裕之が「天然自然ありのままの姿がわからんというのはウソだ。同じ人間の中に平然と階級を設けた社会を疑わなかった自分が情けない。僕を許してくれ。僕は志保さんに教わった」
藤村志保がとても清潔感があって可愛らしい。
女好きな点以外は人格者の破戒僧を中村鴈治郎(『浮草』)
その妻に、世界おばさん女優ランキングベスト3に入るだろう杉村春子(小津映画の四番バッター)。
岸田今日子が三國連太郎の内縁の妻を演じて
「主人も差別は間違いだと言っておりました。どうして間違った尺に合わせるのです? 普通の人間なら普通の人間のようにすればいいじゃありませんか。」
という。
確かに、そう。だけれど、日常生活を送るには、間違った尺にも合わせないと現実を過ごすことが難しい面もあるところが辛い。
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