ほおづき

愛を読むひとのほおづきのレビュー・感想・評価

愛を読むひと(2008年製作の映画)
4.5
人付き合いの苦手な少年と、字が読めないことを恥じてる年上の女の一夏の恋から始まる複雑な恋愛模様を描いた作品で、とっても深く繊細な愛情を感じる純愛を描いた物語。
いちいち言葉にしない二人のやりとりがもの凄くもどかしいけど、微妙な感情の揺れ動きが淡々と描かれていて、鑑賞後は複雑で悲しい気持ちになるけど素敵な物語を観たという印象が残る

女性と別れた少年が数年後、法学部の学生として見学に行った法廷で元ナチの看守として裁判にかけられている彼女を見つける。そのときはじめて彼女が実は字が読めなかったことに気付くのだけど、そのことが判決に大きく影響すると知ってもそれを証言することを断念するっていう展開に、お互いにもう少し歩み寄ればいいのにって少しいらいらもしつつ、結局はすれ違ってゆく二人の姿が、それこそ時代やプライドのせいだったり、歳月のせいだったり・・・言葉に表しづらい感情が渦巻いて、だからこそそれがリアルで、そこがとてつもなく良くて、そして切ない。
そんな二人の関係性があまりにリアルに描写されているので実話ベースなのかと思ってしまうくらい。

ただ、前半だけ・・・前半の恋に落ちていく過程の部分での肉体関係の描写ってあんなに要らなかったんじゃないのかな~って思うんだけど・・・文字を読めないことで、大した娯楽もなく空虚だった女性が、肉欲におぼれていく様を表現したかったのかなぁ・・うーん・・そこ以外はほんとうに素敵すぎた。


そういえば『彼の見つめる先に』でも学生がプールで遊ぶシーンがあったけど、あれって邦画でいうところのカラオケのシーンみたいなものなのかな・・? 外国人はみんな、プールのシーンがあれば放課後ってとらえたりするのかなぁ?