Hiro

愛を読むひとのHiroのレビュー・感想・評価

愛を読むひと(2008年製作の映画)
4.2
「愛を読む人/ The Reader」
ただただ美しい物語でした。愛するということの重み、罪を償いきれない重み、それら全てを背負ってハンナは生きていたんだと思うと、彼女がマイケルに出会った事は偶然はなく、殆ど運命に近かったような気がします。

とにかくケイト・ウィンスレットが凄い。彼女の代表作は「タイタニック」と言われることが多いですが、寧ろこの作品こそ彼女の魅力が存分に詰まっているのでは。
過去と現在を行き来する物語の中で、その表情がまるで違くて。ヘアメイクの技術も勿論ずば抜けて凄いのだろうけれど、特に後半の収監されていたハンナを演じたのは見事としか言いようがない。

2人の出会いはかなり唐突で、「どうして2人が愛し合うのだろう」と思ったりしましたが、見終わってから彼らの出会いを考えてみると、あの出会いは本当に奇跡のようなものだったのかもしれない。

ハンナには家族も、友人の影もなく、きっと本当に一人きりで生きていたのだろうし、孤独を癒す「本」も彼女にとっては遠い世界でしかなくて。だからこそ、あの場所で出会ったマイケルを愛すことで、孤独を埋めようとしていたのかもしれない。

一方でマイケルも、家族とはあまり上手くいかず、何処か息苦しいような日々の中で出会ったハンナは、彼にとって救いだったのかもしれない。

最後、もしかしたらマイケルがハンナに会いに行かなければ、ああいう結末を迎えなかったかもしれない。ハンナはマイケルに会えて幸せだったのかな。それとも、絶望したんだろうか。

演出もわざとらしくなく、極めて淡々としていて良かったです。愛する人の秘密を知ってしまった時、私たちはどうするか。許す、という事は愛情の裏返しなのかもしれない。

とても良い作品であることに間違いはないと思うのですが、ドイツを舞台にした作品なら、ドイツ語で話してほしかったなぁと…。それを抜きにしても良い作品であることに間違いはないですが。
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