m

エターナル・サンシャインのmのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
3.5
記憶を消せる未来を描いた切ないラブストーリー。
記憶はその人が生きた証、愛した人がいた証、そう感じた作品。

凄まじい映像美。
数々のPVを手掛けたミシェル・ゴンドリーさんが[記憶]という曖昧な物を映像美として作り上げた作品に目を見張る。
氷河の上にベッドがあるシーンがタイプ。
また奇想天外で有名なチャーリー・カウフマンさんが脚本を手掛けただけあってあっと驚くようなストーリーになっている。

私には一時期の記憶がぽっかりと無い。
それは記憶喪失とかでは無くて思い出せないだけ。
人の脳みそは生きていく為に辛い出来事を忘れるようになっているらしい。
その時期は本当に辛くて、今現在その時期の記憶が無い。
よく考える事がある。
私はあの時生きていたのか?
辛い記憶を思い出せないのはいいけど、楽しかった思い出も忘れている。
たまに凄く切なくなる。
記憶を無くすという事はとても怖い事。
その時の自分を否定し、愛する人を否定している事になる。
そんな事は絶対にしてはいけない。
と、思う反面ジョエル(ジム・キャリー)の気持ちになった時やってしまうかもしれないと思った(笑)
クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)も突発的と言っていたけど消すまでには色々葛藤したんだろうなって考えると切なくなる。

記憶を消す前にもっと2人が愛している描写があれば、もっと感情移入出来たと思う。
若干、記憶除去に視点を置きすぎている気がする。
そしてラストの問題のカセットテープ。
あれはいらないと思う。
不満があってもいい、とか、許すとかの描写なのかもしれないけど必要ないと思う。

とりあえずストーリーは好き。
時系列がぐちゃぐちゃなのも好き。
映像はもっと好き。

なんだけど、漠然とした2人だけの恋愛に心が動かされなかった。
上記に書いたけどもう少し主人公2人に感情移入できる暇を与えてくれたらよかった。
切なさや悲しさがズシンと胸に突き刺さる作品ではなかった。

記憶を消して次の恋愛に足を進めるあたりが素敵だった。

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★★
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★★★
メッセージ性 : ★★★☆☆
感情移入・共感 : ★☆☆☆☆

cc/“さよなら”の代わりに記憶を消したーーー
m

m