のうこ

タレンタイム〜優しい歌ののうこのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
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アフマド監督の映画は楽観的に見えて、常に死と隣り合わせの残酷な現実を見せてくれる。他の映画にも共通の、自動車やバイク、子供みたいにじゃれ合う夫婦、やたらと仲の良い家族、歌、唐突な死(ベストは細い目)などの要素がつまった本作では、中盤から常に誰かの死を意識させる。他の映画よりもかなり露骨で、陽気な車椅子の死神なんかもでてきて、明るさと不気味さが入り混じる。よく見るとベットの母と座っている少年の後景にいて、こっちを見てるカットがあった……ぼやけてたけど。誰もいない校舎内を映すオープニングとエンディングは、うっすらと不気味さがただよっていてとても好き。アフマド監督は歌自体をとても重要視しているように思っていたのだが、本作は歌(パフォーマンス)のコンテスト自体にあまり意味がなく、バイクの送迎で男女を引き合わせたり、出演者それぞれの生活を見せるために使われている。この設定なら最近見た『シング』のほうが面白かったかな。
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