つくし

タレンタイム〜優しい歌のつくしのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
5.0
やりやがったな!息をするのも困難なほど泣けたじゃねえか!三十路のおっさんピンポイントで狙いやがって!((泣))

前評判から文学的な作品だと思ったが、まさかの冒頭からユーモアのつるべ打ち!ただただバカみたいに大きな声を発する!(田舎ではよくあること)下ネタを普通に放つ!(優しい下ネタ)などベタベタな笑いから映画の中に引き込まれて行く。その手口鮮やか。

それが中盤から一転して深い悲しみが作品全体を覆う。ここまで一切退屈なシーンはなく、登場人物は多く、物語りも重なりまくってるが、なぜか迷子にならない!テンポもよい!なんでや!会話の掛け合いがまるで舞台をみているかの様で……これかな……わからん!

物語は賑やかだがその分、確かにわかりにくい部分も多い。本作は多彩な言語、人種、宗教、価値観が交錯し、一見複雑そうに見えるが、物語の根幹を成すのは人情である。ああ、これは人情映画なのか。パンフの冒頭にあった監督のヒューマニズムという言葉が頭から離れない。ああ、確かにそれのみを凝縮した様な映画だよなこれ(笑)

タレンタイムが始まる前のおっさんの独白よ……お前……なんつータイミングで……おっ、おい……涙が止まらねえ……この状態でタレンタイム発動だと!涙流しすぎて、し、死んでしまう……!(無事死亡)

物語は一応の結末を迎えるが人によっては説明不足、描写不足と捕らえるだろう。うん。わかるわかる。しかし、どうだろう。物語の道筋はしっかりと見えるではないか。この後の物語は容易に想像出来る事だろう。観客の想像力を奪うような野暮はしないということだと私は考える。

ぐっしょりと濡れたハンカチを手にしてうずくまる俺(32)。
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