つくし

首のつくしのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

えっ、めっちゃ良かった。
意外な程に普通の時代劇。
映画の大まかな空気感は昼間に再放送してるちょっと昔の時代劇。この脇役みたいなやつがこの回の主役かな。あー、こいつを追っかけてるとこういう話につながるのかーってやつ。

合戦シーンだけ大河ドラマ的で大掛かりだけど、かなり単調。物語に必要なのでやってます。お客さんも喜ぶしというやつ。合戦の間にある家康の影武者コント、秀吉の側近とのやり取りだったりが本当にやりたいことで。

毎回、男女の愛憎の物語ばっかりじゃつまんねえよ。男同士、さらにおっさん同士の愛憎劇なら新鮮味あるしおもしれえだろ。という発想。実際にめちゃくちゃ面白い。おっさん同士であいつの事が好きなのかこいつの事が好きなのかと絶対に笑いを取りに来てる。永遠に笑える。遠藤憲一の配役が素晴らしいすぎて奇跡じゃないのこれ。別に差別的とか馬鹿にしてるとかじゃなくてこれはわざとだから笑っていい。

次々に出てくる魅力的な登場人物が次に何をするのか、なぜ今こいつにスポットライトが当たってるのか、予測不可能に見えて、完全に予測不可能だと観客が萎えるから、そこはまあちょっと意外なぐらいの丁度いい塩梅の展開がずっと続く。これは面白い。観客はずっと考え続けなければならない。人は簡単に死ぬのでコントの間も常に緊張は漂ってる。そのうちにお気に入りの人物は必ず出てくるし(中村獅童最高すぎる)、先も気になる。
しかし、どう終わらせるのかとずっと考えているうちに突如、「首なんてどうだっていいんだ!」からスタッフロール。唖然。
物語の終わり方より、映画としての終わり方を重視した。素晴らしい。

みんな思ってるよ信長の首どうなったんだって。あっ、それ光秀の首じゃねえの、とかさ。そんな思考中に唐突に終わる。これは狙いなのか。はじめての体験をした。スタッフロール中に魅力的な登場人物達のここまでの流れからその行く末が走馬灯の様にぶわーとフラッシュバックした。思考が勝手に進んでる、のか後退してるのかわからん脳の動きしたのでびっくりした。あいつはどうなったこいつはどうなった、マラソン大会、マジでみんないい芝居してたな、いや、でもいい終わり方だな、でも角川のお偉いさん怒るだろこれは、あれ最後先陣切ってた二人とも生きてるじゃん、このエンディングテーマすごいいいな日本的で静かさもあって壮大でもある、魅力的な登場人物、先の気になるストーリー、素晴らしい音楽、隙のない演出と風景描写、えっ、あっ、はい、面白かったです。みたいな。
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