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酔いどれ天使のシノファンのレビュー・感想・評価

酔いどれ天使(1948年製作の映画)
3.8
黒澤・三船コンビの最初の作品。
三船敏郎、新人。ギラギラしてるが、後の時代劇での破天荒な快活さと比べると、まだ思い切った演技のできる役どころを見つけきれていない感じ。
志村喬が若い。毒舌の声にも張りがある。
ドロドロしたヤクザの世界に、香川京子が一服の清涼剤のような役割をしている。

ヤクザって、一人一人は魅力的な人柄で愛されながらも、結局はこんなふうに自己満足の中で死んじゃう…って、志村喬の嘆く通りの映画。
なんだか虚しい。

あらすじ
反骨漢だが一途な貧乏医師・真田は、闇市のやくざ・松永の鉄砲傷を手当てしたことがきっかけで、松永が結核に冒されているのを知り、その治療を必死に試みる。しかし若く血気盛んな松永は素直になれず威勢を張るばかり。更に、出獄して来た兄貴分の岡田との縄張りや情婦を巡る確執の中で急激に命を縮めていく。弱り果て追い詰められていく松永。吐血し真田の診療所に運び込まれ、一旦は養生を試みるが、結局は窮余の殴り込みを仕掛けた末、返り討ちで死ぬ。真田はそんな松永の死を、毒舌の裏で哀れみ悼む。闇市は松永などもとからいなかったように、賑わい活気づいている。真田は結核が治癒したとほほ笑む女学生に再会し、一縷の光を見出した気分で去る。
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