なに？オープニングからゴジラ？？って茶川のボツ小説だったか。前作から2年後に作られた本作は子役たちもちょっと大きくなって同じキャストにほっこりする。（またこの家族たちに会えた感）時代の再現性という意味でもこの作品は貴重な作品。
ろくちゃんは相変わらず優しい。鈴木オートにみかちゃんがやって来て、相当なお嬢様育ちのわがままっこ。おうちが倒産して親戚のおうちに預けられて心はついていってない。夜中泣きながら摂る食事って、人生の味だよなぁ。そのことをわかって見守るろくちゃんがぐっときちゃう。家族みんなで行く銭湯。お風呂上がりの牛乳。幸せのやつ。
茶川が東大の同窓会に行ってから、じわりじわり自分の勝負に向かうまでの一つ一つがたまらなくいい。同窓会で旧友が裏話してるところを立ち聞きして中へ入る勇気がなかった。淳之介に気を遣わせて払えなくなっていた給食費。ヒロミがゴールデン座の裏影でお金持ちの後妻として口説かれてるところを目撃してしまった。最後のとどめに淳之介の実の父親から正論を説かれた夜、酔っ払って頭を冷やす悔しさに目が釘付けになる。この心理描写を吉岡秀隆さんがとてもよく演じていてすごい。次の朝、彼は芥川賞をもう一度目指すことを決意し駄菓子屋をしばらく閉める。淳之介の自分のことを差し置いて、茶川に一喜一憂する姿に胸が熱くなる。
パンパンに入った映画館。石原裕次郎の映画をあんな風に観てたの？！（あそこに入りたい。笑）トモエの懐かしの君との再会。夫婦揃ってみる一平が生まれた時の記録。映写機で襖に映して、白黒フィルムを見る。無音なのも切なくていい。
茶川の小説が芥川賞の最終選考に残った。みんなが真剣に応援するその気持ちを掬って詐欺をする輩もいるものの、そこからわかる周囲の茶川への愛情と、彼がひたむきに掴もうとするピュアで美しい愛。小説のタイトルは「踊り子」。もう、泣く。現実はこうはいかない。確かに、そうです。からの、クライマックス号泣です。
みかちゃんが福岡に行く日。一人でよその家に預けられて涙をこらえた小さな女の子は、世の中の厳しさ以上の愛情をよその家族からもらって素直になっていく。一平はお風呂上がりの女の子に恋をして、東京タワーに登るのを我慢して彼女にプレゼントをする。たまらない、な。
本作のテーマは恋、だね。男は女の子のために頑張るんだなぁ！みんなで登る東京タワー。堤真一さんが可愛すぎる。家族みんなで見るオレンジと、花の名。
