O

ゆれるのOのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
3.3
皆若すぎるやろ!!!!!!
すごいなあ、15年くらい前の作品か。

誰とは言わないけどタイーホされた人達が
ちらほらしてるのもちょっと笑った。

オダギリジョーの色気大爆発で
どエロいのも良かった…いるよなあ、
こういうクズなんだけどハマらずには
いられない男って。

真木よう子の都会に憧れる
愚かな女ぶりも悪くなかった。

香川さんは確かに若いんだけど、
見た目が大人しいのに腹にはどす黒い
闇を抱えている役柄を見事に演じきって
いて、素晴らしいのひと言でした。
若い頃からいい役者さんだったんだなあ。

不安定な吊り橋の上で、
稔が必死に智恵子を離すまいと
鼻息荒く縋りつき、この地獄のような
片田舎で俺を置いていくなんて
絶対に許さないと言わんばかりの
異常なほどの執着心。

檻の中で生きていくのも、
あのガソリンスタンドで生きて
いくのも同じだと語った兄。

弟への嫉妬心が噴き出した兄から
吐き出される恨み言の数々。豹変した態度。
何があの温厚な兄を狂わせてしまったのか。

閉鎖的な世界、そしていつ何時も
人生そのものを監視されているかの
ような無数の視線。
家族なのだから、助け合って当然。
年老いた親の面倒を見て、
何の希望もない家業を継ぐのは
当たり前という世界。

だけど、そこから逃げ出した弟の罪は
そんなに重いものだったのだろうか。
確かに、彼が智恵子を抱かなければ
起こり得なかった事件なのかもしれない。
けれど、遅かれ早かれ、
この兄弟は狂っていた。

この片田舎で、じわじわと
ゆっくりと蝕まれるように。

最後の望みだったのかもしれない。
この地獄のような人生であっても、
同じように希望を見出せず、
死んだ魚の目をした幼馴染であれば
運命を共にできるのかとしれないと。

ぐらぐらと揺れる物体に、ほんの少し、
外から力を加えてしまえば……。

兄の狂気、弟の罪悪感、
取り返しのつかない真実。
巧妙に練られたタイトルと、
登場人物による心理戦。
全てがしんどい、だけど面白かった。

最後まで僕が奪い、兄が奪われていた。
あまりにも辛い現実だけが残っている。

あの金髪バイト君だけが
唯一の救いだったなあ。
O

O