すみ

ゆれるのすみのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
4.2
ゆれる、というタイトルが見終わった後にスッと入り込んできた。
記憶の、感情の、善悪の、信頼の、いろんな狭間で「ゆれる」。

大切なことが何一つ明かされない。
全てが受け手に委ねられる。何度も見返したい映画。

香川照之のどっちとも取れるような繊細な演技と、ボロボロと剥がれていく脆くて危うい感じが本当にすごかった。オダジョーはこういう自由奔放で自分勝手な役が本当に似合うなあ。

自由や幸せってなんなんだろう。
真面目で信頼できる兄は、そういう自分からも、今の人生からも逃げ出したかった。
終盤の新井浩文の「あの人を返してくださいよ」のセリフには少しゾッとした。
「この人はこういう人だから」という信頼や期待は「こういう人であってほしい」というエゴでもあって、ものすごく近いものだと感じた。
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