えいこ

ゆれるのえいこのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
4.4
陰鬱さとざらっとした映像、音楽のセンスもアメリカンニューシネマを思わせる。
背景も細部までリアルで、車やカメラなどディテールがとにかくカッコいい。

ドラマはどろどろと重苦しく、弟に兄に共感が移りながら、心が揺れ、ざわつきが高まっていく。信じているように振る舞う兄弟でも心の底は明かされず、嫉妬や侮蔑、葛藤を沈ませている。なにかをきっかけにそれがマグマのように噴出してまた鎮まる。でも何もなかった静けさにはもう戻れない。7年の歳月はそれを本当に鎮めることができたのか。ゆれ続ける後悔と愛憎を止めることができたのか。
最後は観る側に委ねられる。すべてを奪ったのは、奪われたのはどちらなのか。後まで引きずる問いかけが重い。

後半は法廷と接見シーンがほとんどで、香川照之とオダギリジョーの表情に圧倒される。繊細な表現は素晴らしい。木村祐一の検事も効いている。
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