おだまき

ラヂオの時間のおだまきのレビュー・感想・評価

ラヂオの時間(1997年製作の映画)
3.8
生放送のラジオドラマを控えたスタジオ。初脚本を手がけた主婦·みやこは緊張した表情で見守っていた。しかし主演女優が設定に文句を言い始めたことをきっかけに、本番直前に設定が変更。話の辻褄が合わなくなってきたので行き当たりばったりの対応となり···。

「この話には無理がある」

気軽に観られるドタバタコメディ作品。


限られた時間や道具で創意工夫する様子は、何だか演劇作品を観ているようでした!三谷幸喜脚本の『当事者なら悲劇だけど、端から観てると喜劇』な展開が好きです。


最初は順調だったのに、少しの変更でハプニング連鎖が起こる感じ。
創作活動で、学校生活で、社会生活で誰もが一度は経験あるのではないかと思います。私は中学·高校の文化祭準備やグループワークで作るアレコレを思い出しました。


昔観た時はプロデューサーが酷い!脚本家可哀想!という印象でした。
社会人になった今観ると、登場人物其々に譲れないラインがあり、誰が悪いとかではなく、譲れないラインの攻防の物語だったのかなーと思いました。
プロデューサーは、プライドは捨てられるけど、どんな出来でも"生放送をやりきること"は譲れない。
脚本家は、登場人物の名前や設定を変えられても耐えるけど"物語の結末を変えること"は譲れない。
ディレクターは、無茶な要求にも対応するし、そこへの労力は惜しまないけど"作者の意に反した作品を世に出すこと"は許せない。
演者も、ナレーターも、監督助手も···登場人物其々に信念があり、妥協しながらも「ここは譲れない!」をぶつけ合う様子が格好よかったです。

また、其々に信念があることで個性があり生き生きして見えました。登場人物が多くても脇役だなーと思う人がいなかったです。


「この本に、悲しい結末は似合わない」

2021-76
おだまき

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