むるそー

ラヂオの時間のむるそーのレビュー・感想・評価

ラヂオの時間(1997年製作の映画)
1.3
深夜のラジオドラマの生放送。作品の脚本を書いた鈴木みやこの元に、我儘な女優から設定を変えたいという要望が届く。そのズレは別のズレを生み、各々の思惑が混ざり合ってどんどん歯車は狂っていく。でも生放送を成功させたいという気持ちは皆同じ。最後は一丸となって作品を完成させるのだった。

芦原妃名子さんの一件がまだ記憶に新しい中で鑑賞。結構グロい話だと思ってしまった。僕は作者中心主義というか、"あらゆる作品は1人の人間の創作物で、それに関わる演者やスタッフやスポンサーの意思は介在されるべきではない"というかなり偏った考え方を持っていると自覚しているので、この作品自体を否定するつもりはないのだけど、一個人としては見ているのもしんどかった。

少し今作の内容とは外れるが、"商業"という言葉一つとっても、商業的な作品と商業性のある作品の二者は明確に異なると思っている。商業性と芸術性は両立するが、商業的であることと芸術的であることは相反する。その上で、商業的である作品にどれほど価値はあるのだろうか。自分が魂を込めて作った作品が、商業的なアプローチで映像化されたら、どう思うのだろうか。

もちろん今作自体は商業的ではないが、描かれている内容がそれを是としているように思えてキツかった。
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