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ヘアスプレーのLCのレビュー・感想・評価

ヘアスプレー(2007年製作の映画)
4.4
楽しかった!

めちゃくちゃ元気になれた。
主人公がとにかく好きなことにまっすぐでとても良い。好きなことにまっすぐ故に、周りにひしめく差別や偏見とは無縁の若いエネルギーで、物語をぐいっと引っ張る。
音楽に乗って彼女についていくと、複数のキャラクターたちも見ている私同様、音楽に乗り始める。
この一体感は爽快だった。たぶん本作の大切な要素でもあるのではないかと思う。排除され孤立することは強大な力を持つが、その力は自分が人として自分らしく生きる力を殺すものだ。

主人公がママに明るいエネルギーを送りまくる。ママも段々明るく前向きな姿勢を見せてくれるようになる。
しかし彼女たちがそれでも挫けそうになると、パパがしっかり受け止めて支えて、背中を押してくれる。ステキにもほどがあるんだよお…!

黒人白人といった肌の色のみならず、体型にも焦点をあてて、ちゃんとそのことで辛さや悲しみや理不尽にぶちあたるのだが、本作は苦しい気持ちになる暇がない。とにかくキャラクターそれぞれがダンスと歌を通して、それらのものを昇華してくれる。力強く、胸を張って、笑っている。そりゃあ見ている私もくよくよしている場合じゃなくなる。
自分に誇りを持って、誰かを元気付けられる人。その魅力がよくわかる作品だと感じる。

フィナーレはもうにっこにこですよ。胸が熱くなる。
黒人女性は未だに社会構造の1番下に位置すると言われているけれど、正直悔しいよね。そう思わせる、大きくて柔らかくて深くて強い、そんな魅力のあるキャラクターを描けている。がってんだ、フィナーレは多幸感に包まれる。
この作品、本当素直に各キャラクターがステキ過ぎるのだわ。服屋のおっちゃんだって、常にキャンディ持ってる親友だって、「女」を使って成り上がったママだって、みんなそれぞれに自分の輝きをぶつけ合ってる。だからこそ本作はカラフルで明るいイメージが強くなっていると思う。

オラに元気を分けてくれ!という状態の時に見たい作品リストに入った。
年が明けてまだ幾日にも関わらずしんどいニュースが渦巻く今日この頃だけど、こんなにも明るいエネルギーで満たしてくれてありがとう。出会えて良かった。
LC

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