michi

転々のmichiのレビュー・感想・評価

転々(2007年製作の映画)
4.1
ロードムービーは都内の散歩風景においても十分成立するのだと新鮮だった。擬似家族のドラマでもあったけど何故かロードムービーの調子と合う。どちらも仮の姿であり「終わり」を感じさせる気分へモラトリアムを見るのか。

三木作品はモラトリアムが重要なテーマとなっている。日曜の夕方サザエさんが終わってからのダウナーな時間についてオダギリジョーが触れてたように、表現された喪失感はどれも日常の中で繰り返される「小さな終わり」を愛おしむ気分だ。

ロードムービーのリアルとは日常性の愛しみにあり、だからこそ都内の散歩風景にさえカタルシスを得られるのではないか。大笑いした後一瞬哀愁を覚えるように、コメディーの中へ刹那を愛しむ気分が含まれている。三木作品は笑いと涙を感じる仕掛けがたくさん配置されている。
michi

michi