リッジスカイウォーカー

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語のリッジスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

3.0
取締役候補にまで出世が見えている主人公が、リストラの執行者となり、同期の工場長にリストラ実行へ向けた協力を頼むも事故で亡くなる(自殺かどうかは定かではない)。また時を同じくして母親の体調も悪化。という理由づけはされつつも、いきなり子どもの頃の夢だった電車の運転士に49歳で転職するとは到底思えない。

この気持ちの変化はもっと丁寧に描いてほしかった。じゃないと、気まぐれとも取れてしまう。

地位と名誉を天秤にかけ、地方のローカル線で働くことを、人生を全うするまでの仕事として選ぶのかな?? 


自分はもうすぐアラフィフとなるので、主人公の心情はなんとなくわかる。

自分の人生は夢を叶えてきたわけではない。

もちろん今は好きな事を仕事にしているのではあるけど、「夢」かと言われるとそうではない。

「夢」で食っていけるほど世の中甘くない。
なりたくても向いてないかもしれない。
実はとても不得意なことかもしれない。
といった不安要素はいくつも出て来るし、イチからのスタートであれば、若い時よりも習得スピードは格段に遅くなる。

好きな仕事をすることと、夢はイコールではないと思っている。

んで、この歳になって子供の頃の「夢」を仕事にするほど、リスキーなものはないとも感じる。

だって時代が違うんだもの。

30年以上前の社会と現在じゃ、求められているニーズが全然違ってる。

あと映画では時間をかけて築いてきた人間関係も完全にリセットしている。
これもめちゃくちゃリスキーで、こんな選択はある意味無謀とも取れる。

だから敢えて問いたい。

夢を追うというのは綺麗だけれども、果たしてそれで幸せになれるのか?その満足は一過性ではないのか?持続可能なのか?と。


そういった現実的な視点はひとまず置いておいて、この主人公のようにリストラの執行者になったら、俺も仕事は辞めちゃうだろうなぁ。病みすぎて。メンタル持たないと思う。
なぜ会社の戦略や事業の失敗の尻拭いを、経営層ではなく、部下にやらせるのか、まずそこが理解できない。

こないだねほりんぱほりんでリストラの執行者の人が出ていたけど、まぁ病むよ。病まないわけない。
ここは資本主義の闇の一つだよ。。


運転士になってからのお話は非常に冗長です。

娘は学校どうしてるんだろうか?一緒に田舎に来て。。
妻とは別居して、妻は妻で好きなことをやっている。

夢を追うには夫婦で共に歩むことはできない、と暗に言ってるのかもしれない。

これはとてもわかる。

多分、自分が夢を追いかけたら、今と同じ生活はできなくなるから、何かしらは犠牲にしなきゃいけなくなるよね。


本作はあくまでもファンタジーとして観た方がいいですね。
イイハナシダナーってなれます。


中年で夢を叶えるために行動したらどうなるだろう?という視座を与えてくれるので、そういう意味では良い作品。

今自分には「夢」ってないなぁ。
代わりに、実現したいことはたくさんあります。