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モンローのような女のodyssのレビュー・感想・評価

モンローのような女(1964年製作の映画)
1.5
【看板だおれ】

一般公募で選出した女優を主演にした映画で、作られた当時(半世紀以上も前)は鳴り物入りだったようですが、今の目で見るとかなり生ぬるいですね。というか、多分、当時としても生ぬるかったんじゃないか。

まず、ヒロインの魅力が活かされていない。真理明美(いかにも作りましたという芸名ですねえ)は美貌にはさほどすぐれていないので、体で勝負するしかないと思うんだけど、最後まで脱いでいません。

もちろんまともに脱いじゃうと成人映画(当時はR-18なんて言い方はしなかったはず)になっちゃうから制約はありますけど、他の女優がちゃんとビキニ姿を披露しているのに、ヒロインは布の多いセパレート水着がせいぜいです。

そもそも、筋書きは普通の女子高生だったヒロインが家庭の事情などから写真家のモデルになり、しかし脱ぐことに抵抗があって、色々あった末に・・・・ということなのだから、最後に脱がないことにはどうしようもない。しかし最後に脱ぐところはシルエットでしか表現されておらず、なんだこりゃ、なのです。

それ以外の点でも、一方でヒロインの家庭の貧乏くささが出るかと思えば、他方でその叔母さんがやっている飲み屋の風俗が出てきたり、時代に根ざしたリアリズムと風俗映画的な部分とがごっちゃになっていて、映画としての統一感というか、ウソでもいいから何かまとまりのあるイマジネーションを観客に喚起するという力が希薄なのです。

思わせぶりなタイトルや、一般公募で主演女優を選んだという話題性だけが先立って、肝心の中身は薄いままに終わった失敗作でしょう。
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