囚人13号

血涙の志士の囚人13号のレビュー・感想・評価

血涙の志士(1928年製作の映画)
4.0
首吊り判事が炎の中に見る囚人のフラッシュバック(多重露光)は無声映画の監督ならば誰しもが使用する映像技法であるが、ジョン・フォードの名からは連想し難いという理由からここは印象に残るのかもしれない。

逆に彼の作品で馴染みのある場面やアクションも見られ、例えば判事が死ぬシーンは手元を強調すべく画面の右半分がぼかされているが、死を手元で表現する演出は『長い灰色の線』でほとんど再現されている。

それにしてもフォード映画のヴィクター・マクラグレンはいつも哀れな役だ。
最後の取り残されたマクラグレンの寂しげな表情は忘れられないが、やはりフォード映画における彼は家庭とは無縁な人間として生きていくよう運命づけられていたのだろう。
囚人13号

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