The Supremesの伝記映画という位置づけにある作品。
ディーナ、エフィ、ローレル、ジミー等のミュージシャンの紆余曲折の物語というより(もちろんそれも見どころではあるが)RnB、ソウルという音楽が抱えてきた複雑さをミュージカルに乗せて描き出した作品だなーと。
スタックスこそ真のRnB・ソウルレーベルであり、モータウンは白人向けに改変されたソウルのレーベルだと言われることがあるが、本作のレインボーレコードを見るにモータウンはまさにそのとおりだったのだなーと思ってしまう。
ジミーが生放送中に湿っぽいバラードを歌うことをやめ、その場でリズム隊に指示を出しラップを始めるところはたまらなかった!レインボーレコード的、あるいは白人的ソウルを抜け出し真のソウルを体現しているわけであり、ここが一番アツいシーン。結局ジミーは薬物に飲み込まれ、白人的ソウルという大きな市場からもはじき出され帰らぬ人となってしまうのだけど。
スターシステムの汚いところも濁すことなくしっかりと描かれている。マーケティング的に間違ってはいないのはもしれないが、やはり嫌な制度…。
私はモータウンの生んだアーティスト、楽曲がとても好きだけど、それらを消費する際にこういう背景は知っておかなければな〜と。モータウンが悪なのかと言われればそうではない。けれどソウルがこういう歴史を抱えた音楽であることは忘れてはいけない。(…と見ごたえはかなりあったけれどあまり感情が動かなかったので評価は低めに)