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ドリームガールズのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ドリームガールズ(2006年製作の映画)
3.5
ここにはソウルがある、極上の声と強靭な曲があって他に何を望もうかーーーー今をときめくヒットメーカー、ビル・コンドンの代表作を見直す。シュープリームスの秘話を基にしたブロードウェイの人気ミュージカルの映画化だけあって感情を揺さぶり、パワフルでスリリングで有無を言わせず見る者の耳に残り心に反響していくよう。時代背景も交えてメンバー間の軋轢、嫉妬、疎外、幾度となく私の前に立ちはだかる壁という壁を様々な時代や視点から比較的満遍なく押さえる所を押さえて描き網羅しようとしているよう。何より白眉なのは体重も増量させて迫真の演技を見せ圧巻の歌声を聴かせてくれるジェニファー・ハドソンと、彼らしいアプローチでリトル・リチャードといったアーティストのイメージを現代に更新してみせるエディ・マーフィーの共にキャリアトップレベルのパフォーマンス。ケイト・ハドソンの演技が作品そのものへの感情以上に胸を打つ。ちなみにエディ・マーフィーがアカデミー賞授賞式の時に本命視されていた助演男優賞を獲り逃して怒って会場を後にしたというのは今では語り草?『クリード』の時のスタローンさんは流石年の功のとでも言うかそんな事はなかったぽい。そしてダイアナ・ロスをモデルにしているという役のビヨンセの花開くように目を見張る美しさには素直に息を飲んだ。彼女は今では実生活でウーマンパワーの象徴そのものである、何ともブレることなく外見ばかりか内面的にも強く逞しく美しいのだろう。そして、それらドラマの葛藤の多くの元凶となるのは彼女たちを"商品""モノ"を利用してニューサウンドを追い求め続けたジェイミー・フォックス扮するマネージャー。いつも髪の毛を躊躇なく抜くジェイミー・フォックスは髪型を変えたりもして"ワルの仲間入り"をするし、すっかりベテランのダニー・グローヴァーは終盤に優しさ溢れだしてポイントを稼ぐような好演(役得?)。"It's All Over"からの"And I Am Telling You I'm Not Going" がヤバすぎる。本気の音楽ってすごいな、何の言う言葉も見つからないよ。
「夢はいつか現実になる」「本当のあたしを見ていない」「夢はすぐには叶わない」「もう二度とあたしを踏みつけないで」
勝手に関連作『Ray』『シカゴ』『ジャージーボーイズ』
TOMATOMETER78% AUDIENCE71
Dreamgirls' simple characters and plot hardly detract from the movie's real feats: the electrifying performances and the dazzling musical numbers.
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