カマリス

愛おしき隣人のカマリスのレビュー・感想・評価

愛おしき隣人(2007年製作の映画)
4.0
 三部作構成の真ん中、『散歩する惑星』に続く2作目の『愛おしき隣人』原題は「Du levande」でそのまま訳すと「あなたは生きている」となる。
 訳せば何かわかるかと思ったがさっぱりである。
 

 前作と基本的なスタイルは変わらず、客観的に冷めた視点で人を映す。言わずもがなすべてのシーンが絵画のようである。
 しかし、そこに映る人々は不思議な人たちでありながら実際にそこに生きているようである。だからこそ彼らの生きる世界が自分の生きている世界と地続きであるように感じた。

 前作以上にストーリーが散らばっておりほとんどストーリー的繋がりが分からない。
 ただ、登場する人物の多くが人生が上手くいかない人たちばかりであるが、明日はもしかしたら良くなるかもしれないと小さな希望を持って生きている。それは酒場のラストオーダーに加えて「明日があるから」と言うセリフにも表れている。

 しかし、それだけで終わらないのがロイ・アンダーソン監督の作品である。
 最後に人は立ち直っていくことができるかもしれないと思った矢先、人々は空を見上げる。そこにあったのは...。
 という、とんでもないブラックジョークをぶち込んでくる。しかもそれにポップな音楽が流れエンドロールがはじまる。本作はここの破壊力が凄まじかった。これだけでも観る価値がある。

追記
英語版のこの映画のwikiを読んでみた所、最後のシーンは最初の男が目覚めシーンに繋がるようである。危うくとんでもないトラウマを刻み込まれるとこだった。
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