平田一

ロード・オブ・ザ・リングの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

“指輪を手にしたものが世界を救う”

J・R・R・トールキンの古典「指輪物語」を最高技術を駆使して描くファンタジートリロジー。トリロジーの初陣は旅の仲間の結成から離ればなれになってくまでを、壮大なスケールで、描ききった超大作。

物語の主人公は“力の指輪”と呼ばれる指輪を手にした青年、フロド・バギンズ。邪悪な冥王サウロンの魔力が込められた指輪には、すべての種族を滅ぼすことができる力が宿っている。邪悪な指輪を滅ぼすために結成された旅の仲間と、フロドは指輪を滅ぼすための冒険へと旅立つが…

9月からの新シリーズ「力の指輪」に備えてですが、今見ても色褪せないし、むしろ価値は高まるばかり。

トールキンが創造した中つ国と呼ばれる世界をここまで実在するかのように描いているのがまず良いです。現行のファンタジーはグリーンスクリーンなどといった最新のテクノロジーで何でも可能になりましたけど、ロケーションに勝るものはやっぱり今もないですね。今見てもニュージーランドの発するパワーは桁違いで、多くのファンタジー作品に求められるのも分かる。この場所を選べた時点で既に殆ど勝利だよ。

加えて物語のシンプルさ、奥深さも欠かせない。巨大な力に魅せられていくキャラクターらの人間臭さ、闇にひたすら呑まれたものや、そこから再起を果たすもの…この映画に限って言えばボロミアに尽きるでしょう。

ボロミアはゴンドール(人間の国の名前)からやって来た戦士であり、故郷の苦境を救うために、焦るように力を求む…そういった切羽詰まった事情を抱える人間です。そんな彼が一回は指輪の魔力に屈するも、自分の過ちと向き合って、仲間のために立ち上がる。決してそれが報われたわけではなかったんですが、アラゴルンや仲間たちはその勇気を知っている。何度見ても最期の姿は泣いて泣いて泣きました。演じているショーン・ビーンも名演の一言です。最近のインティマシー・コーディネーターに関する発言はマイナスですが、それはそれ、これはこれとします。

しっかし改めての拝見で、その他のファンタジー映画が未だにこれを越えられないの、スゴく納得できるな。これはもう映画というより、一つの世界の創造ですよ。そこに着眼してきたからこそ、未だに輝いてるのかも。
平田一

平田一