あー

肉弾のあーのレビュー・感想・評価

肉弾(1968年製作の映画)
4.8
「汚いよりも清い方がいいな。
神(特攻)の国よりは人間の国の方がいい。
強い国ってのはどうかなぁ?(懐疑)
世界に輝く偉い国。
こいつは、いいな。
そうあってもらいたいなぁ。
(括弧内は推察と抑揚)

本当に良い国なら
子供は小学校で勉強してる。
大人の俺だって本当は勉強してる。」

21歳と6ヶ月。

"たいした事ではない。"
仲代達矢が飄々とした語り口で
ナレーションをする。

しかし..."たいした事"だった時代。

終戦間近の日本。硫黄島も沖縄も
攻め込まれ、いよいよ本土決戦。
"あいつ"は頑丈なM4戦車の下に
潜り込み下から爆弾を爆発させる
戦車特攻隊にー。

ものすっごい面白い。
岡本喜八の才を改めて感じる。
映画会社が製作費を出さず、
岡本夫人と自宅を抵当に入れてまで
制作した程、語りかける大傑作。


"日本のいちばん長い日"が真面目で
陰の気を背負うならば、こちらは
対照的に"陽"の気を背負う反戦映画だ。

コミカルに。時にはシニカルに。

特攻する事が決まった"ネズミ"の
最後の自由に出来る1日。

"ウサギ"と出会い、
戦う意味を見つける。

途中でほんのひと時出会う
高橋悦史さんの台詞がまた沁みるんよ泣

寺田農さんの純朴で飄々とした
"あいつ"もまた素晴らしい。
毎日映画コンクールで男優賞。納得。

最後があまりにもシニカルすぎて衝撃。
思わず0.2下げちゃった。

しかし、あのラストシーンは
いつまでも心に残ってしまうんだろうな。
あー

あー