sonozy

タンポポのsonozyのレビュー・感想・評価

タンポポ(1985年製作の映画)
3.5
西部劇からヒントを得たという事で、伊丹十三監督いわく「マカロニ・ウエスタン」ならぬ「ラーメン・ウエスタン」(笑)と称されたシュールなコメディ作品。

雨の降る夜、タンクローリーの運転手、ゴロー(山崎努)とガン(渡辺謙)が、ふらりと来々軒という寂れたラーメン屋に入る。
夫を亡くし一人息子ターボーを抱える女主人タンポポ(宮本信子)が一人で切り盛りする店内には、ヤクザなピスケン(安岡力也)という土建業者と子分達がタンポポを脅しており、ゴローは邪魔くさい彼らを外に出し乱闘となる。

翌朝までゴローの傷の手当をするタンポポ。
ラーメンの味の不味さを指摘し、ラーメン作りの指導を始めるゴロー。
タンポポは、ゴローに指導役を頼み込み「行列のできるラーメン屋」を目指し、厳しい修行が始まる。

このメインストーリーに絡む、ラーメンの「センセイ」と呼ばれるホームレスのまとめ役(加藤嘉)や、愛人に付き添われる老人(大滝秀治)なども楽しい。

複数のサブストーリーが脈絡なく展開される面白さ。
●オープニングから登場する、情婦連れの白いスーツでキメたギャング風の男(役所広司)。二人のホテルでの食シーンや、獲りたての牡蠣を食べさせる海女(洞口依子)とのエロス。
●レストランでのマナー講座中の先生(岡田茉莉子)が店内で食事中の外国人客に影響される話。
●フランス料理店にやってきた会社役員たちがフランス語で書かれたメニューから次々と同じメニューを頼む中…
●歯の痛い男(藤田敏八)と、歯医者、セクシーな助手、首に親の伝言を下げている少年。
●スーパーで食品を素手で潰して歩く老婆と店長(津川雅彦)の駆け引き。
●名誉教授を装うスリの常習犯の老紳士(中村伸郎)。
●自宅で死にそうな妻の元に走る男(井川比佐志)。妻は男の一言で起き上がると..
●ラーメンの正しい食べ方をガンに教示する老人。
●ターボーにオムライスを作ってくれるホームレスの男。

いずれも「食」がモチーフの爆笑エピソード。
ラストは“人生最初の食事”のシーン。

海外でファンが多いというのも納得です。
National Board of Review USA: 1987 Top Foreign Film
sonozy

sonozy