佐藤克巳

激動の昭和史 軍閥の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

激動の昭和史 軍閥(1970年製作の映画)
5.0
「日本のいちばん長い日」の敗戦があるなら当然開戦もある。山村聰の米内光政内閣倒閣から神山繁の近衛文麿内閣に転じた所から、サイパン玉砕で大東亜共栄圏が倒壊する迄の、小林桂樹の東條英機内閣の実態を描いた堀川弘通監督の力作。垂水悟郎演じる東條と対立する武藤章は実名では無い等、当事者がまだ生存中という表現の限界はあるものの、左翼偏向を避け正確な歴史観で貫かれていて好感を持った。毎日新聞記者加山雄三の思い上がりを、見事ぶち砕いた神風特攻隊員黒沢年男の毅然とした反論に胸を撫で下ろした。今も昔も、マスメディアは真実を語らない赤旗の様なプロパガンダ機関である。また、本作は陸軍の暴走だけが戦争犯罪では無い事を知る良いテキストである。
佐藤克巳

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